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個人再生手続に適する事案とは

 

個人再生を選択すべき具体的事案

 支払いが困難な状況といっても,無収入あるいはそれに近い状況で返済金の用意自体がそもそも困難な場合と,一定の収入はあり毎月の返済金を少しは用意できる場合では,選択すべき債務整理の方針は異なってきます。

 前者の場合は,清算型手続きである自己破産を選択せざるを得ない場合が多いでしょう。

 後者の場合は,再生型手続きである個人再生又は任意整理が選択肢として加わります。

 個人再生と任意整理の大きな違いは,裁判所が関与するかどうかということです。

 個人再生は裁判所が関与することから,一定の要件を満たせば,5分の1程度まで債務を減額することができます。

 他方で,任意整理は,裁判所の関与がないため,個人再生のように返済総額の減額を当然に要求できるわけではありません。あくまでも,個別に債権者と弁護士が交渉を行っているにすぎません。

それでは,具体的にどういった事情があった場合に,個人再生を選択するのがよいのでしょうか。

⑴ 住宅ローンの残っている自宅があり,手続き後も自宅に住み続けたい場合

 自己破産の場合,全財産が破産管財人による管理処分の対象となりますので,自宅をどうしても残したい場合には,個人再生を選択すべきでしょう。

 個人再生の場合,住宅資金特別条項を利用し,ローン債務と他の一般的な債務とを別の返済条件にしてもらうことで,住宅ローン債務は従来どおり支払いながら,その他の一般債務は返済額の減額をしてもらうことができます。個人再生が選択されるもっとも多いパターンがこれです。

⑵ 警備員や生命保険外交員などの職にある場合

 警備員や生命保険外交員など,破産者であることが欠格事由となっている職業があります。この場合,破産開始決定から免責許可決定が出るまでの間,事務職などの仕事に配置転換してもらうことも考えられますが,会社の規模が小さく融通がきかない場合もあると思います。この場合,破産と違って欠格事由が問題とならない個人再生を選択することが考えられます。

⑶ 借金の原因がギャンブルであるなど,破産を申し立てても免責不許可となるおそれが高い場合

 個人再生の場合,破産法に定められた免責不許可自由の存在が,当然に再生計画の不許可の理由とはなりません。そのため,免責の点から破産を選択しづらい場合には,個人再生を選択することでこの問題を回避できます。

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